生産キャパを越えた会社のWEB運営を考える

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<質問>

WEB運営が順調に進んでいるおかげで、一定の受注が来るようになりましたが、
生産量を超えてきてしまいました。
品質にこだわりたいため、スタッフの増員や拠点を増やすのは難しい状況です。

こういう時、他の会社はどのようにして乗り越えていますか?
また、ホームページは閉鎖したほうが良いのでしょうか?

<回答>

それは嬉しい悲鳴ですね。分かれ道
会社が次のステップに進もうとしているのでは。以下のような成長戦略の見直しが必要ですね。

◇ 今後事業を拡大していきたいのか?
◇ どの顧客のどのニーズに応えていきたいのか?

ここで、例として、生産キャパを増やさずに成長戦略をとった製造業の事例を紹介したいと思います。

事例紹介

業種:製造業、いわゆる町工場
所在:東京都内
規模:従業員30名
お仕事内容:お客様の図面をもとに、製品の量産を行なっている
受注プロセス:見積依頼⇒発注⇒試作⇒量産
主な顧客:各業界のメーカー、中堅部品メーカー

リニューアル直後、徐々に増えてきたお問合件数とその考察

ホームページをリニューアルしてから、様々な業種・業界から、見積依頼が届くようになりました。
最初は月に2・3件程度でした。
見積して受注につながらないもの、受注しても利益率が低いものなど、様々なものが混じっていました。

しかし、3ヶ月経過すると、高確率で受注できる特定の技術分野があることに気付きました。
市場のニーズがどんどん増えていることや、それに応える同業者が少ないことを感じとっていたのです。
それだけでなく、利益率も比較的高いことがわかりました。

そこで、ホームページを更新します。特定の技術に関連する内容を比較的多くしました。それと同時に、SEO対策をするキーワードも、特定の技術を探している人が調べるであろうキーワードに変更しました。
1ヶ月後には、アクセス数も増え、お問合せもさらに増えました。

最初の受注ピーク時の乗り越え方

やがて、生産量が追いつかなくなりました。
人づきあいを大切にする社長さんだからこそ、お仕事を断らない主義でやってきたからです。

社長は、一時的な需要だと思い、まずは操業時間を増やすことで対処します。スタッフに残業代を支払い、営業時間を増やしました。
それでも生産が追いつかないので、工場を昼稼働・夜稼働の二部制に分け、すでにある自動化設備の台数も増やしました。

こうして、限られた設備と人的資源をフル活用して、供給量を最大限に増やしました。

転換期に決めたこと

生産量が追いつかない時期も一時的なものだと思ってしのいでいましたが、半年も続くと、今後も継続するものだとして、戦略を練るべきだと考えました。

まずは社長のこだわりであった「お仕事を断らない」主義を変える必要が出てきたのです。元々は不況を乗り越えさせてくれたお客様を大切にしたいという一心から生まれた考えでした。

そこで、お客様を「新規顧客」と「リピート顧客」に分けて、このような主義を全社統一で掲げることにしました。

新規顧客よりも、リピート顧客を優先して受注を受ける

新規顧客開拓も大切ですが、リピート顧客と長く付き合っていくことは財務上安定することを重視していました。
また、リピート顧客は、大口・小口に関わらず引き続き大切にお付き合いしていく事がその会社のポリシーだと決めて、全従業員に伝えました。
したがって、新規で生産量が追いつかないからという理由で発注を断るのは、基本的にNGとしました。

新規顧客は、厳選して引き受ける

新規顧客に関しては、基本的にお断りしながらも、優良企業や今後継続的な仕事が見込める内容に絞り、金額も多少上げました。同社の技術を高く買ってくれるところのみが、新たな取引先になっていきました。

その時々に、ホームページを変更

問合せが入り始めた時

高確率で受注につながった『特定の技術』を求めているユーザー向けにホームページを更新しました。
関連する内容を新たに3ページ分追加し、製品写真や技術的な内容を大幅に追加。
さらにその技術を求めている人が流入するよう、キーワード対策・SEO対策をしました。

一番最初のピーク時

超多忙の時に社長からお電話をいただき、このように一文を入れました。TOPページに目立つ色で入れています。
「ただいま生産が追いついておりません。納期を通常よりも長く頂く場合があります。」

転換期

『特定の技術』以外は、目立たないような構成に変更。
またホームページに訪れた人の第一印象を変えるべく、親しみのあるデザインから、堅実でスタイリッシュな色味のデザインに変更しました。

正のサイクルが生まれたホームページ運営

今回紹介させていただいた企業では、ホームページリニューアルをきっかけに財務・マーケティングの両面で大きなブレイクスルーをもたらしました。
同社の特筆すべき点は3つあります。

大幅に改善された財務状況

売上金額に変化が現れました。しかし、それ以上に変化したのは利益率です。
同じ売上金額や生産規模でも、利益率が上がったことにより、財務体質の強化につながりました。

マーケティング手段としてのホームページ

「お問合せ内容」を通じて、市場からみた自社の価値を敏感に感じ取っています。例えば、見積依頼で届く図面やその業界を見るだけでも、市場の動向がわかるそうです。
特に、リニューアル後3ヶ月で振り返り、機敏に動いたことは、今の状況を作り出すきっかけになりました。

状況に応じて変えたホームページの姿

財務状況やマーケティングの状況に応じて戦略を考え、また、ホームページの内容を変えることは、今回のように有効な場合が多いです。
そして、莫大な予算を投じなくても、簡単にできることばかりです。
中小企業が限られた予算で効果的にホームページを運営できた良い例なのではないかと思います。

今回の例の紹介がお役に立ったら幸いです。

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TOMOKO

Written by: TOMOKO

中小企業のWEBコンサルタントとして、様々な業界にWEBサイトで新規顧客獲得のための企画・運営に携わり、その数は300社にのぼる。 株式会社S-FACTORY代表。 Google公認プロフェッショナル認定 Adwords初級・上級認定、Analytics認定 Google + Twitter

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